ペトロブラス総裁が辞任、トラック輸送業界ストの余波

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年06月04日

国営石油会社ペトロブラスのペドロ・パレンテ総裁が6月1日、辞任を発表した。同総裁はテーメル暫定政権が発足した2016年5月に就任し、前政権下で財務状況悪化に直面したペトロブラスの経営立て直しに貢献してきた。

5月8日に発表された2018年第1四半期の純利益は前年同期比56%増の69億6,000万レアル(約2,108億円、1レアル=約29円)と、2013年第1四半期以来の高水準となっていた。

パレンテ氏は辞意を記した大統領宛て書簡の中で、トラック輸送業界によるストライキとそれによりもたらされた国民生活への多大な影響に関して、ペトロブラスの燃料卸売価格の調整方針に疑問が向けられるようになったと指摘した。

その上で石油の国際価格や為替動向といった外的要因がブラジルの燃料価格に影響を与えることへの理解が得られず、ディーゼル油利用者に補助金を出さざるを得ない状況に政府が追い込まれたとした。今後政府が代替策を打ち出す上で、自らが総裁にとどまることはプラスではないと述べた。

燃料の卸売価格調整に関しては、前政権において政治的意向が優先され、それが経営悪化の一因になったとの認識の下、2016年10月からは国際石油価格や為替などの指標に基づき価格を最低月1回、2017年7月からは毎日調整されていた。それが今回のストライキにより、30日ごとの調整に変更された。

後任にはイバン・モンテイロ財務担当理事が就く。テーメル大統領は1日、同理事およびグワルジア財務相、フランコ鉱山エネルギー相と面談し、前総裁の下、2年間で赤字経営から改善したペトロブラスの経営再建の継続と、燃料価格調整方針への政治的干渉は行わないことをあらためて強調した。

(二宮康史)

(ブラジル)

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