ケープタウンで海水淡水化施設が稼働

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2018年06月06日

ケープタウン市は、5月21日に小型海水淡水化施設の稼働開始を発表した。同市が位置する西ケープ州では、2016年ごろから降水量の減少が顕著になり、深刻な水不足に見舞われている。市が所有する6つの水源の貯水率は2017年平均で19.8%と前年の30.3%から大きく低下。国内では、ケープタウンの水源が枯渇する日を「デイ・ゼロ」と呼び、早ければ2018年4月にもデイ・ゼロを迎えるとの悲観的な予測が連日報道されるなど、社会問題となっている(現在、デイ・ゼロは2019年とされる)。なお、5月から降水量が多い冬季に入り、まとまった降雨があった影響で、5月30日時点で平均貯水率は約25%まで回復している。

こうした状況に対処すべく、同市は市民の飲料水確保を目的として3件の小型海水淡水化施設の建設に係る公募を2017年8月から実施。12月までに地場企業のウオーター・ソリューションズ、プロクサ、クオリティー・フィルタレーション・システムズなどが落札し、建設を進めてきた。今回の発表は3件のうち同市郊外にあるストランドフォンテーン地区のプラントの稼働に関するもので、日量700万リットルの淡水を生産する。ほか2件の建設中のプラントも7月中に稼働となる予定で、さらに日量900万リットルが追加供給される。これらの海水淡水化施設には逆浸透膜の技術が使用されている。

3施設あっても水不足は続く見通し

一方、3つのプラントが稼働しても深刻な水不足は当面続く見込みで、市当局は節水を続けるよう市民・企業に呼び掛けている。同市および西ケープ州は国際的な観光地であるとともに、ワイン生産や果実栽培をはじめとした農業が盛んで、水不足の長期化による影響も懸念されている。ちなみに、クワズルナタール州の沿岸都市ダーバンでは、日立製作所が海水淡水化・水再利用統合システム「RemixWater」の実証プラントの建設を進めている。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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