商務部、米国の追加関税の動きを批判

(中国、米国)

北京発

2018年06月25日

商務部の高峰報道官は6月21日の定例記者会見で、トランプ米大統領が新たに10%の関税を賦課する2,000億ドル相当の中国製品を特定するよう米通商代表部(USTR)に指示したことに対して(2018年6月21日記事参照)、米国自身の多くの構造問題を他国になすりつけるやり方だと批判した。そして、米国の主張する、中国による知的財産の盗用や技術移転の強要は歴史と現実を著しく歪曲(わいきょく)するものと強調した。また、米国内で金融業、農業、製造業から強い反対の声が聞かれていることなどを指摘し、米国の「一国主義」「保護主義」は最終的に米国の企業、労働者、農民の利益を損なうもので、米国がこれらの声にきちんと向き合い、正しい方向性を回復するよう希望すると述べた。

もしも、米国が2,000億ドル相当の品目に追加関税を課した場合、中国は既に十分な準備があり、数量と質の両面からの対抗措置を打ち出すとし、米国がどう喝交渉に臨むとしても、中国へは意味をなさず、理性を欠いた行動は問題解決に無益だと批判した。真意は不明ながら、貿易分野以外に中国の対抗措置が及ぶことも考えられる。

今後の見通しについて問われた高氏は、米国の態度がどのように変化しても、自国の進める改革開放や発展の質の向上を堅持しつつ、淡々と対応するとし、中国経済の先行きは明るいと答えた。

米国が1974年通商法301条発動を6月15日に発表してから、中国メディアの報道は、米国の一方的な態度、「一国主義」「保護主義」を批判し、自国の正当性を強調するものが目立つ。商務部国際貿易経済合作研究院対外貿易研究所の梁明所長も「一方的で保護主義的」と米国の対応を批判している(中国日報網6月19日)。当然のことながら、中国の関連商品輸出企業への影響も懸念されている。清華大学国家戦略研究院の丁一凡研究員は「かなり多くの企業に影響を及ぼす」としている(央視財経6月17日)。

このほか、経済成長への影響について、国家発展改革委員会マクロ経済研究院の王昌林常務副院長は、米国が301条に基づき追加関税を徴収するとしている500億ドル相当は、2017年の中国の対米輸出の11.6%のシェア、中国の輸出全体では2.2%のシェアにすぎないとし、この500億ドル相当の対米輸出品が多少減少しても、経済成長率への影響は0.1ポイント未満としている(北京商報6月16日)。その他の有識者からも、経済成長への影響は限定的との指摘がある。

(宗金建志)

(中国、米国)

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