西九龍駅で本土との出入境手続きを一括実施

(香港、中国)

香港発

2018年06月18日

香港の立法会(議会に相当)は6月14日、香港特別行政区政府(以下、香港政府)が1月に提出していた、「広深港高鉄(一地両検)条例草案」を可決した。これにより、9月の開通が予定されている「広深港高速鉄道」(注1)の香港側ターミナルとなる「西九龍駅」に、中国の法律に基づき出入境管理、税関手続き、検疫手続きを行う「内地口岸区」が設置され、「一地両検」(中国本土および香港の出入境関連手続きを同駅で一括して行う措置)が実施されることとなった。

法案の可決を受け、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は「法案の可決により、西九龍駅における『一地両検』実施に向けた『三歩走』(注2)の手続きが基本的に完了したことは、『一地両検』に関するしっかりした法律的基盤を提供するものだ。これにより、広深港高速鉄道は最大限の輸送効果、および経済的、社会的効果を発揮することが可能となる」とコメントを発表した。

さらに林鄭氏は「香港政府および(当該高速鉄道の香港域内の運行を担当する)香港鉄路(MTR)は引き続き全速力で準備を進め、当該高速鉄道の香港域内部分を予定どおり9月に開通させる。2万5,000キロに及ぶ中国の高速鉄道ネットワークに接続することで、(香港)市民は高速鉄道による利便性を享受することができる」と語った。

(注1)広州南駅と九龍西駅間の142キロを結ぶ高速鉄道。途中駅として虎門駅、深セン北駅、福田駅を設置。

(注2)「一国二制度」が適用され、中国本土とは異なる法制度が適用されている香港域内で、中国側の法律に基づき出入境手続きを実施する区域の設置、関連手続きの実施に向けた3段階の手続きを指す。詳細は以下のとおり。

  1. 中国政府および香港政府は2017年11月18日、西九龍駅における「一地両検」の実施協力に関する文書に署名。
  2. 中国側の国会に当たる全国人民代表大会常務委員会は2017年12月27日、上述の文書を承認。
  3. 中国側、香港側はそれぞれの法律に基づき実施案を策定(今回の法案の可決は香港側における実施案策定手続きの完了を意味する)。

(中井邦尚)

(香港、中国)

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