第1四半期GDP成長率は前期比0.1%、直近5年で最低

(英国)

ロンドン発

2018年06月08日

国民統計局(ONS)が5月25日に発表した2018年第1四半期(1~3月)実質GDP成長率は前期比0.1%で、2017年第4四半期(10~12月)の0.4%から減速した。前期比ベースでは2013年からの5年間で最低の伸び率となった。また、前年同期比でも1.2%で、2017年同期の伸び率より0.9ポイント減となり、成長の減速がみられた(表参照)。

表 英国の実質GDP成長率(前年同期比)

産業別成長率の内訳では、サービス業は前年同期比1.2%と、1.9%だった2017年第1四半期から0.7ポイント減となった。ONSの分析によると、サービス業の中でも小売りや飲食業、アート、娯楽産業などを含む消費者対面型の産業では、2017年第1四半期の前年同期比3.2%から当期は0.5%の伸びにとどまり、大きく減速した。鉱工業は2.0%増となった一方で、建設業は2.7%減、農林水産業は1.3%減だった。悪天候による建設業や小売りへの影響はあったものの、エネルギー供給の増加とオンラインショッピングによる景気への好影響が相殺した。

需要項目別にみると、家計最終消費支出が前年同期比1.1%増、投資を示す総固定資本形成が4.3%増と伸びは維持したものの、2017年第1四半期の家計最終消費支出2.6%、総固定資本形成4.5%の伸びからは鈍化した。

OECDが5月31日に発表したGDP成長率見通しでは、英国を前回(3月31日)から上方修正し、2018年を1.4%(前回1.3%)、2019年を1.3%(1.1%)と予測している。ただ、英国の経済成長を他国と比較して「控えめ」としながら、EUとの緊密な経済関係が成長を加速し得るとした。また、政府の財政赤字の縮小を評価しながらも、英国のEU離脱(ブレグジット)に先立って経済成長が大きく後退する場合には、生産性向上のために投資を促進させるための支援措置の実施に備える必要もある、とコメントしている。

(木下裕之)

(英国)

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