GMとホンダがEV用二次電池の開発で協業

(米国)

ニューヨーク発

2018年06月14日

ゼネラルモーターズ(GM)とホンダは6月7日、電気自動車(EV)向けバッテリーコンポーネント開発での協業を共同で発表した。

対象となるのは、セルとモジュールを含む次世代バッテリーコンポーネント。主に北米市場向けのEV用二次電池(注1)として利用される。現行よりも小型でエネルギー密度が高く、充電時間の短縮が可能となるバッテリーの開発を目指す。二次電池の性能は、電動モーターのパフォーマンスや航続距離に影響するため、EV開発競争の要となる。パナソニックやLGケミカルといった電池メーカー以外にも、最近ではトヨタが全固体電池(注2)の開発を始めたほか、ダイムラーがアラバマ工場でのEV向けバッテリーの生産開始を発表するなど、自動車メーカーによる内製の動きも始まっている。

今後は、GMが開発中のリチウムイオン・バッテリーシステムをベースに共同開発を進める。両社は2013年に、2020年の実用化に向けた燃料電池システムと水素貯蔵システムの共同開発に合意しており、2017年には水素燃料電池システム量産のための合弁会社設立を発表するなど、既に次世代車両の共同開発では実績を積んでいる。

米国では、大型車人気やガソリンの低価格もあって、EV販売台数は全販売台数の1%にも満たない。しかし、排ガス規制などへの対応から、各メーカーの開発は進んでいる。GMは、2023年までに少なくとも20モデルでEVか燃料電池車を投入する販売計画を打ち出しており、メアリー・バーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は2018年3月、EV「BOLT」の増産を発表し、1~4月の累計生産台数を前年同期比3割増と伸ばした。EVでは後発のホンダも、2030年までに世界販売台数の3分の2を電動化することを目指しており、今回のGMとの協業で、電動化の取り組みが加速すると期待している。

(注1)充電式電池のこと。EVの場合、動力用などとして利用される。

(注2)電解質に電解液を使用しない固体電池。従来のリチウムバッテリーよりもエネルギー密度が高く、急速充電が可能なため、複数の企業が製品化のための研究開発を進めている。

(大原典子)

(米国)

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