第1四半期のGDP成長率は7四半期連続でプラス

(マカオ)

香港発

2018年06月11日

マカオ特別行政区政府(以下、マカオ政府)統計・センサス局によると、2018年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比9.2%、GDP総額は1,074億900万マカオ・パタカ(約1兆3,963億円、1マカオ・パタカ=約13円)となった。成長率は2016年第3四半期以降7四半期連続でプラスとなった(図参照)。カジノや観光収入を中心としたサービス輸出が寄与した。

図 マカオの実質GDP成長率およびカジノ収入額増減率の推移(四半期ベース、前年同期比)

カジノ産業への依存続く、産業構造の転換進まず

成長率への寄与度をみると、サービス輸出が12.2ポイントと、2位の個人消費(1.2ポイント)を大きく上回った。サービス輸出の中でも大きな比重を占めるのが観光だ。第1四半期の海外からの渡航者数は前年同期比8.6%増の854万5,700人だった。特に中国からの渡航者数は13.4%増の603万1,400人と2桁の伸びを記録し、渡航者数全体に占める割合は70.6%となった。これら海外からの渡航者のマカオ域内での消費やカジノ収入が、マカオ経済成長の原動力となっている。

第1四半期の観光客によるマカオ域内での消費額(カジノを除く)は22.0%増の164億1,500万マカオ・パタカだった。うち中国からの観光客による消費額は26.5%増の134億7,000万マカオ・パタカと、全体の82.1%を占め、中でも広東省からの観光客による消費額は30.8%増の52億マカオ・パタカと、中国全体の4割弱を占めている。マカオ最大の産業であるカジノ収入も好調で、第1四半期のカジノ収入額は20.5%増の767億5,000万マカオ・パタカと、伸び率は2割を超えた。

マカオ政府は、カジノ産業に過度に依存する経済構造の改善策の1つとして、「MICE」(会議、インセンティブ旅行、国際会議、展示会・見本市、イベント)産業の発展を推進しているが、第1四半期における会議・展示会などの開催件数は10.4%減の328件となった。

(中井邦尚)

(マカオ)

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