ASEANは開かれた地域主義の追求を

(シンガポール)

シンガポール発

2018年06月01日

チャン・チュンシン貿易産業相は5月21日、シンガポールの「ビジネス・タイムズ」紙主催のフォーラムで、同国の企業代表者を前に基礎講演を行った。チャン貿易産業相は「ASEANは開かれた地域主義を追求し、地域統合を深化させる方針を再確認すべきだ」と訴え、「ASEAN加盟国は協力して、自由で開かれた、ルールに基づく相互依存的なシステムの構築に向け、強い意思表示をすべきだ」との認識を示した。その上で、「一国主義や保護主義に対抗するためには、ASEAN加盟国による団結のスタンスが不可欠だ」と主張した。

チャン貿易産業相は、1997年のアジア経済危機と、2000年のITバブル崩壊、そして2008年の世界金融危機の局面で、ASEANが貿易協力と経済統合を推進した結果、他地域に比べて早急に経済回復ができた経験を指摘。そのことを踏まえ、「危機を乗り越えるには、単独よりも複数国が互いに協力して乗り越えた方が良いという貴重な教訓を示している」と強調した。

また同相は、域外国によりASEANを単一市場としてみてもらうために、経済統合を推進し、域内の統一性と連結性を高める必要性を説いた。そのための方策として、(1)域内のさらなる一体化に向けた貿易構造の改善・強化、(2)データ保護や知的所有権保護、サイバーセキュリティーなどの政策導入などデジタルエコノミーに向けた体制構築、(3)ASEANとしての長期的な競争力向上のため、単なる市場やモノづくりの拠点ではなく、イノベーションを生むアイデアが生まれる拠点とすること、の3つを提案した。

演説文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは貿易産業省の発表を参照のこと。

(源卓也)

(シンガポール)

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