小規模企業連盟、支払い遅延の是正を要請

(英国)

ロンドン発

2018年06月06日

英国小規模企業連盟(FSB)のマイク・チェリー会長は5月29日、FTSE100企業(ロンドン証券取引所の時価総額上位100銘柄の企業)の経営者に対し、英国経済に害を及ぼしている(1)取引先への支払い遅延をやめる、(2)悪しき商慣行を是正する、(3)サプライチェーンでの「いじめ」をやめることなどを求める書簡を送ったと発表した。FSBは書簡の中で各企業に対し、新しい支払い文化の育成を支援するために、大企業が率先して支払い慣行を良くするよう求めている。

英国企業の支払い遅延は取引先となる中小企業の経営を圧迫しているとして、かねがね問題になっており、2017年4月からは従業員250人を上回る企業に対し、取引業者への代金支払い状況を年2回公表するよう義務付ける制度が導入された(2017年1月23日記事参照)。

支払い状況の公表義務化も効果出ず

しかし、FSBが5月29日に発表した調査結果によれば、中小企業の84%がいまだに支払いの遅れに遭っていると回答しており、33%の企業は、4件に1件の割合で期日より遅れているとしている。また、過去2年間に合意された支払い条件をみると、支払日までの期間が延長される傾向にあり、これによりキャッシュフローが悪化していると37%が回答している。代金支払い状況公表義務付け前と比べて、支払い条件が改善したと答えたのは4%にすぎない。

チェリー会長は「大企業の中には、取引関係で上位にあるのを良いことに中小の下請け企業に対し買いたたいたり、支払いを遅延することで、自らのキャッシュフローを改善しようとするところがあるが、これは純粋にいじめだ」とし、さらに「毎年5万の中小企業がこれにより倒産に追い込まれ、約25億ポンド(約3,675億円、1ポンド=約147円)の損失となっていると推察している」と述べ、大企業に対し即座に行動するよう求めている。

(岩井晴美)

(英国)

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