EU、豪およびNZとの通商交渉を開始

(EU、オーストラリア、ニュージーランド)

ブリュッセル発

2018年06月28日

欧州委員会のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は6月18日にオーストラリアを訪問し、マルコム・ターンブル首相、スティーブン・チオボー貿易・観光・投資相とともにEU・オーストラリア間の通商交渉開始を発表。さらに、21日にはニュージーランドを訪問し、デイビット・パーカー貿易・輸出拡大相とともに通商交渉開始を発表した。

欧州委の委員、保護主義の誘惑への抵抗を強調

マルムストロム委員は両国の訪問中に、それぞれの教育研究機関で講演し、鉄鋼とアルミニウムへの関税賦課など最近の米国の通商分野での動向に懸念を表明。その一方で、EUとオーストラリアおよびニュージーランドとの通商交渉の開始は「野放図な自由化と単独行動主義、保護主義の誘惑への抵抗を示すものだ」と強調した。

欧州委は、オーストラリアおよびニュージーランドとの通商交渉開始の発表に当たって、両国が包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の参加国であることに触れ、EUが両国と通商協定を締結すれば、EU企業はそれぞれの市場において他のCPTPP参加国の企業と対等に競争できるようになると期待を示した。

一方、オーストラリアとニュージーランドは酪農、畜産業が盛んな国として知られる。EU理事会(閣僚理事会)が両国との交渉開始を承認した5月22日(2018年5月23日記事参照)に、欧州の農業生産者団体である欧州農業組織委員会(COPA)・欧州農業協同組合委員会(COGECA)は声明を発表。カナダなどとの通商協定によりEUへの牛肉の関税が無税となる輸入割当枠が拡大した上に、オーストラリアとニュージーランドとの通商交渉でさらなる競争にさらされる可能性があるとして、域内の牛肉生産者の負担拡大に懸念を表明していた。EU域内の利害関係の調整で、難しいかじ取りが求められそうだ。

EUとオーストラリアとの第1回交渉は7月2~6日に、ニュージーランドとは同月16~20日に、ともにブリュッセルで開催される予定。

(村岡有)

(EU、オーストラリア、ニュージーランド)

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