EU理事会、豪・NZとの通商交渉開始を承認

(EU、オーストラリア、ニュージーランド)

ブリュッセル発

2018年05月23日

EU理事会(EU閣僚会議)は5月22日、欧州委員会に対してオーストラリアおよびニュージーランド(NZ)との自由貿易協定(FTA)交渉開始を承認する交渉指令を採択した。EU理事会は、既存の貿易障壁・関税の撤廃、サービス・公共調達市場へのアクセス改善を優先事項とし、貿易拡大が特に期待される分野として、自動車部品、機械、化学品、加工食品、サービスを挙げた。一方、農業など影響を受けやすい分野の保護に特に留意し、生産者に損害を与えずに、市場開放の恩恵を最大化することを目指すとしている。

ルールに基づく世界貿易拡大に期待

欧州委のジャン=クロード・ユンケル委員長は「開かれた、ルールに基づく世界貿易に取り組むパートナー国・地域との連携を拡大するものとなる」と期待を表明。また、セシリア・マルムストロム委員(通商担当)も「欧州企業に新たな機会をもたらし、持続可能な開発など重要分野で高い水準を維持した互恵的な通商協定を交渉する」と述べ、数週間以内にオーストラリアとニュージーランドを訪問し、公式に交渉を開始する意向を示した。

欧州委によると、2017年のEUのオーストラリアへの商品の輸出額は346億5,200万ユーロ、輸入額は130億500万ユーロ、輸出入合計で世界18位の貿易相手だった。また、ニュージーランドへの輸出額は52億9,300万ユーロ、輸入額は33億9,300万ユーロとなり、50位の貿易相手だった。EUから両国への主な輸出品は機械や輸送機械などの工業製品、主な輸入品は鉱物資源や農産品だった。

EUは2008年にオーストラリアと、技術的障壁の軽減による工業品の貿易促進と、サービス貿易・投資の改善を目的とするEU・オーストラリア連携枠組みで合意。ニュージーランドとは2017年から、経済・貿易分野での協力ルールを含む連携協定を暫定適用している。また、両国とは適合性評価などに関する相互認証協定を締結しているものの、農産品や繊維品などの分野で貿易障壁が残されているという。

(村岡有)

(EU、オーストラリア、ニュージーランド)

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