IMF理事会がアルゼンチン向け融資を承認

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年06月27日

IMF理事会は6月20日、アルゼンチン向けに500億ドルの融資枠を承認した。そのうちの150億ドルを即日融資することを認めた。即日融資が可能となった150億ドルのうち75億ドルについては同国予算に充てることを可能としている。また、残り350億ドルについては、今後3年間の融資期間における四半期ごとの見直し時において判断を行うとしている。

今回の融資枠の承認に当たっては、アルゼンチン政府から提出された経済計画が基になっており、計画では自国経済強化のために、財政規律の確立、現実的なインフレ率の逓減、中央銀行の独立性確保を遂行することによる市場への信頼回復が欠かせないとしている。具体的な取り組みとしては、2020年までの財政収支の均衡の達成や、2021年までにインフレ率を1桁に下げることなどが含まれている(表参照)。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、マクリ政権の改革努力を評価するとともに、融資を通じて同計画が実現することに期待を示した。

表 アルゼンチンの主な経済・金融指標見通し

また、ルイス・カプート中銀総裁は6月21日、IMFから融資を受けたうちの75億ドル分を原資に、アルゼンチン・ペソの通貨防衛策の一環として1億ドル規模の米ドル入札を75営業日継続させることを発表した。中銀にとっての実質的なドル売りペソ買いを一定期間、継続的に行うことによって為替市場を安定させることを狙っており、その結果、短期的ながらも為替市場は安定化しつつある。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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