2018/2019年度予算案、27%は借入金

(バングラデシュ)

ダッカ発

2018年06月19日

ムヒト財務相は6月7日、2018/2019年度(2018年7月~2019年6月)の国家予算案を発表した。規模は前年度概算の約25%増となる4兆6,457億タカ(約6兆400億円、1タカ=約1.3円)で、GDP比では前年度とほぼ同水準の18.3%となる。このうち税収は73%で、残りの27%は借入で賄う計画だ。借入のうち5,406億タカ(GDP比2.1%)は海外借入と海外援助だ(図参照)。

図 2018/2019年度歳入の内訳

税収のうち付加価値税(VAT)が32%を占め、所得税30%、補足税(国内産業保護などの目的で課される税)13%と続く。銀行向けの法人税減税やeコマースに対する5%の付加価値税の導入、ハイブリッド車減税などが当地報道では盛んに取り上げられている。他方、歳出をみると、道路・通信・電力などが31%と最も構成比が高い

7.8%成長目指すも税収や治安に不安

政府は2017/2018年度のGDPを22兆3,850億タカ、成長率を7.65%、1人当たりのGDPを1,782ドルと試算し、2018/2019年度は7.8%成長を目指している。しかし、不安材料もある。1つは税収目標の未達成だ。バングラデシュの徴税率は世界有数の低さで、政府は産業界からの増税に対する反発や要望を受けて減税措置に転じることも多い。特に2018年は総選挙を控え、政府は例年よりも弱腰だ。2016/2017年度は80%程度しか税収を得られず、2017/2018年度もそれを下回ると推測されている。

さらに、総選挙に伴う治安悪化も懸念される。2013/2014年度および2014/2015年度のGDP成長率が6%台にとどまった要因の1つはゼネラルストライキ(ハルタル)の頻発だった。野党第1党のバングラデシュ民族主義党(BNP)は予算案を「選挙で票を取るために、借金に頼ったバラマキだ」と批判している。現在服役中のカレダ・ジアBNP総裁は、一切の暴力行為を行わないよう、党員に呼び掛けているものの、総選挙が近づくにつれ、どのように治安情勢が変化していくか注視する必要がありそうだ。

(古賀大幹)

(バングラデシュ)

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