ヤンデックス、ウーバーとの合弁で配車サービス拡大へ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年06月19日

オンライン配車サービスのロシア最大手ヤンデックス・タクシー(Yandex.Taxi)と米国大手ウーバー(Uber)は6月14日、ロシア国内で両社の共通技術基盤によるサービスを開始した。両社のブランドと配車アプリは今後も継続するが、配車の割り当てやルートの最適化、混雑時の価格計算など技術的な要素はヤンデックスの基盤に統合される。

ウーバーは2014年にロシアに進出したが、ヤンデックスなどとの競合が激化。ロシア事業から事実上撤退するかたちでヤンデックスと2018年2月に合弁会社を設立した。出資比率はヤンデックスが59.3%、ウーバーが36.9%で、残りの3.8%は同社従業員が所有している。ヤンデックス主導の合弁企業はCISやバルト諸国でもサービスを展開する予定という(「RBK」紙電子版5月22日)。

世界的に広がりをみせているタクシー配車サービスはロシアでも成長市場だ。連邦政府付属分析センターによると、2017年のタクシー業界の売上高は575億ルーブル(約1,035億円、1ルーブル=約1.8円)で、前回調査(2015年)から14.2%増となった。2015年にはロシアのタクシー市場で21%(116億ルーブル)を占めた無認可タクシーが、2017年には11.5%(75億ルーブル)まで大幅に減少した。タクシー配車サービスの利便性や乗車料金の明朗性などが支持された結果と言われている。ヤンデックスの2018年第1四半期の連結財務諸表によると、売上項目のうちタクシー配車部門が前年同期比4倍の31億1,600万ルーブルに達した。

ゴールドマン・サックスによると、タクシー配車サービスの世界市場規模は2016年の360億ドルが、2030年には2,850億ドルに成長する見通し。ウーバーは世界各地で地場企業との競争に苦戦しており、2016年に中国から撤退、東南アジアでも事業売却を進める。一方、ケニアやルーマニアなどの新興市場でフードデリバリー事業に参入している(2018年6月6日2018年6月7日記事参照)。

(戎佑一郎、市谷恵子)

(ロシア)

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