クアン国家主席が来日、「ベトナム投資カンファレンス」開催

(ベトナム)

アジア大洋州課

2018年06月08日

ジェトロとベトナム計画投資省は5月31日、国賓として来日したベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席臨席の下、「ベトナム投資カンファレンス-日越双方向交流時代へ-」を開催した。同カンファレンスには600人余りが出席し、クアン国家主席の基調講演および協力覚書(MOU)交換式が行われた。

また、高島屋、ルネサンス、井上ゴム工業、FTPといった日越企業によるそれぞれの国をまたいだ事業活動についての発表の後、ベトナム計画投資省外国投資庁(FIA)のドー・ニャット・ホアン長官とチャン・トゥアン・アイン商工相を交えてパネルディスカッションが行われた。

クアン国家主席は、日越の歴史的つながりが近年ますます強化されていることに触れた上で、今後の経済発展の可能性について「両国は包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、いわゆるTPP11)において協力してきている。CPTPPにより、新たな経済的チャンスの拡大が期待される」と述べた。

その後のMOU交換式では、イオングループや日本電産グループに発行された投資登録証明書の授与や、日越間の企業および各団体における13件の協力案件の覚書交換などが行われ、両国のつながりの強さを示す場となった。

講演を行った日系企業はベトナムの事業環境について、若い世代が多く、高品質を好み、ブランド志向な消費市場があり、かつ勤勉で質の高い労働力を確保できると評価し、かつ日本との文化的な親和性はベトナム進出を後押しするものだとした。一方で、交通面をはじめとしたインフラ整備、従業員の労働環境や関連する法令の整備などを課題事項として挙げ、今後の改善をベトナム政府に要望した。

また、登壇した日系企業から、「外国人労働者の社会保険加入」の運用について、企業が外国人スタッフの出向元の国とベトナム両国で社会保険料を支払う状況となることへの懸念が挙げられた。アイン商工相は「政府としてこの問題提起を受け止めている」と述べ、7月にベトナムの関係省庁が厚生労働省と会合を行う予定だと明らかにした。

(安野亮太)

(ベトナム)

ビジネス短信 6b82b03fd5ad906f