マレーシア、在北朝鮮大使館の再開を検討-「米朝首脳会談」に対する見方-

(マレーシア、北朝鮮、米国)

クアラルンプール発

2018年06月14日

マハティール首相は6月12日、北朝鮮の首都・平壌(ピョンヤン)市にあるマレーシア大使館の再開と両国関係の再構築を図ることを発表した。同日に行われた米朝首脳会談を受け、「米国との交渉における北朝鮮の誠意を疑うべきでない」と発言し、貿易関係を含めた良好な関係構築に尽力する方針を示した(「ニュー・ストレーツ・タイムズ」紙6月13日)。

北朝鮮との2国間関係改善の兆し

マレーシアは北朝鮮国民が査証なしで渡航できる数少ない国だったが、2017年2月にクアラルンプール第2国際空港で起きた金正男(キム・ジョンナム)氏の暗殺事件により両国関係が悪化。マレーシア政府は同年4月に在北朝鮮マレーシア大使館の全外交官を引き揚げた。10月には北朝鮮の核弾道ミサイル実験に対する国際的懸念から、マレーシア政府は北朝鮮との貿易の一時停止、国交断絶も含めた外交関係の見直しを行うことを発表していた。

在北朝鮮大使館の再開に向けた具体的なスケジュールは不明であるものの、これまで対外的に強硬姿勢を示していた金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が国際的な交渉のテーブルに着いたことをマハティール首相は評価しており、両国関係改善のきっかけとして適当だとみている。

マレーシア統計局によると、マレーシアと北朝鮮間の2017年の貿易総額は715万ドルで、全体の0.002%程度だ。マレーシアから北朝鮮への主な輸出品目は一般機械、医療機器、動植物性油脂。北朝鮮からの主な輸入品目はコールタールや石炭など。マレーシアは2017年に世界各国から総額1億6,000万ドルのコールタールを輸入しているが、北朝鮮は同品目で7位の輸入相手国で、輸入額の2.3%を占める。

(田中麻理)

(マレーシア、北朝鮮、米国)

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