ワインの交渉結果を国税庁が解説-日EU・EPAビジネスセミナー-

(日本、EU)

欧州ロシアCIS課

2018年06月18日

ジェトロは6月11日、「日EU・EPAビジネスセミナー」を甲府市で開催した。ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課の田中晋課長が、欧州市場の特徴や日EU・EPAの概要、欧州でビジネスをする中小企業の事例を紹介。続いて、国税局甲府税務署派遣 酒類業調整官の齋藤隆夫氏が日EU・EPAの酒類の交渉結果について説明した。ワインについての概要は以下のとおり。

ワインの関税は、EU側・日本側ともに即時撤廃となる。非関税障壁については大きく2つの点が改善される。

  1. 現状、EUワイン醸造規則に従って製造されたもののみがEU市場で流通可能で、国際的なルールを踏まえて定義した日本ワインであってもワインとして輸出することができない。しかし日EU・EPAによりEUが日本ワインの醸造方法を容認することで、EUワイン醸造規則によらず、日本ワインであれば輸出可能になる。ただし、醸造方法が容認されない例外が2つある。1つは、二酸化硫黄の含有率が特定の基準を満たさない場合、もう1つは、同一産品の同一工程で補糖と補酸を両方行った場合、または補酸と除酸を両方行った場合である。
  2. 現状、EUワイン醸造規則に従っている旨の証明書添付の義務があるが、日EU・EPAにより業者の自己証明が導入されることで金銭的・時間的な負担の軽減につながる。ワイン添加物については、現状、日本でワインに使用できる添加物がEUでは承認されていない場合があるが、日EU・EPAにより主要なワイン添加物について、日EUそれぞれが添加物使用のための承認申請手続きを開始する。添加物の承認期限は、協定発効日まで、発効後2年をめど、特定の期限を明記しないかたちで手続きを進めるものの3パターンがある。

齋藤酒類業調整官は、外国産の安いワインの輸入が増え競争が激しくなることが予想されるため、山梨県のワインのブランド価値を地域全体で高めていく意識が必要だとしつつ、輸出がしやすくなることで新たな市場を確保できるメリットについても紹介した。

(注)同一産品の同一工程とは、製造工程上の段階が同じもののことを指す。ブドウの果実、果汁、発酵中のもろみ、発酵終了後のワインなどで、例えば、果汁の段階で補糖を行い、発酵後のワインの段階で除酸を行う場合、その醸造方法は容認されるという。

(深谷薫)

(日本、EU)

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