国際経済フォーラムで日ロビジネス拡大を議論

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2018年06月26日

毎年初夏にロシアで開催されるサンクトペテルブルク国際経済フォーラムは、各国から企業トップや政府関係者、経済専門家らが集い「ロシア版ダボス会議」とも呼ばれる。22回目の今回は2018年5月24~26日に開催され、日本はフランスとともにゲストカントリーとして参加した。

全体会合では、プーチン大統領のほか、安倍晋三首相、フランスのマクロン大統領らが参加。フォーラムのテーマ「信頼の経済」に関して議論が行われ、安倍首相は、日本とロシアの経済交流を通し信頼の経済の構築を実践していると述べた。プーチン大統領は、対ロ経済制裁を念頭に世界的に広まる不信感が経済成長を阻害している現状においては、相互の信頼がより重要になっているとした。

両国首脳を迎えた、「日露ビジネス対話」では、両国の官民関係者によるビジネス進展に向けた意見交換が行われた。安倍首相は2016年に提案した8項目の協力プランに基づいたプロジェクトが130を超えたと触れた上で、この協力プランが、プーチン大統領が発表した2024年までの戦略と方向を同一にすると指摘。日本の製品・技術により、ロシアの産業基盤の強化につなげる意欲を示した。

プーチン大統領は、両国のポテンシャルを考えると、日本からロシアへの投資には拡大の余地があると指摘し、積極的な投資を呼び掛けた。また日本企業の質問に対し、デジタル技術分野におけるロシアと外国企業の活動促進に向けた支援策拡充を示唆したほか、医薬品の認証登録制度の改善への意欲を示した。

ジェトロの石毛博行理事長は同ビジネス対話で、8項目の「協力プラン」においてジェトロが中小企業の交流・協力の推進を担っていることに言及し、日本では企業のほとんどを中小企業が占めている状況を紹介して、中小企業の役割の重要性を訴えた。

また、本フォーラムでは両国の間で、郵便事業における協力に関する覚書(日本郵便およびロシア郵便公社)など、投資や事業拡大に関する11の協力覚書などが締結された。ジェトロは戦略イニシアチブ庁(ASI)との間で、両国間の中小企業の交流と協力の抜本的拡大に向けた協力覚書を締結した。

(一瀬友太)

(ロシア)

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