給与に課されるINSSへの負担金軽減措置の対象業種を縮小

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年06月06日

ブラジル政府は5月30日、給与に課される国立社会保障院(INSS)への負担金軽減措置に関して、対象業種を縮小した。同軽減措置は、ルセフ政権時代に制定された2011年12月14日付法令12546号を基に、INSSの納付に際して従業員給与に対して20%を課す方式について、一部の業種で粗売上額に対し1~4.5%課す方式に変更することを認めていた。同制度は従業員数が多い一方で、売上額の低い企業に有利な制度となっていた。

トラック輸送業界ストの余波の1つ

これまで56業種で粗売上額に対する課税方式を認めてきたが、2018年5月30日付法令13670号により17業種に縮小された(注1)。上院で可決された法案では28業種が含まれていたが、テーメル大統領は11業種を追加で削除した。

その背景には、連邦政府はトラック輸送業界のストでディーゼル油の卸売価格引き下げを合意したが、それに伴う税収減少分を既存の税制優遇カットで相殺する意図がある。なお、このほかにも輸出企業に対する税還付制度(Reintegra)、化学品業界に対する税優遇制度(Reiq)、マナウス・フリーゾーンで製造している飲料に関わる税率変更を発表している。

今回、軽減措置が維持された17業種は、(1)靴製造、(2)コールセンター、(3)放送・出版、(4)衣料・縫製、(5)建設、(6)インフラ工事、(7)革製造、(8)車両・車体製造(注2)、(9)機械装置製造、(10)動物性プロテイン生産、(11)繊維、(12)情報技術、(13)通信技術、(14)集積回路設計、(15)都市鉄道、(16)旅客道路輸送、(17)陸上貨物輸送、となっている。ただし、これらの業種も軽減措置は2020年12月31日までとされている。今回、軽減措置の適用外となった業種には3カ月の猶予があり、本法令の適用は9月1日からとなる。

(注1)業種数および本稿で言及した業種は報道(「オ・グローボ」紙2018年5月31日)などによって要約されたもの。法令では工業製品税(IPI)の課税業種区分(TIPI)あるいはブラジル地理統計院(IBGE)による経済活動業種区分(CNAE2.0)により示されており、実際にはこれらの業種区分で制度が適用される。

(注2)乗用車に該当するTIPI8703は含まず、トラクター(8701)や貨物車両(8704)などが主な対象。

(二宮康史)

(ブラジル)

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