ガスプロム、第1四半期は増収増益

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年06月05日

天然ガス大手ガスプロムは5月30日、第1四半期の財務諸表(国際会計基準)を発表した。売上高は前年同期比17.8%増の2兆1,383億ルーブル(約3兆7,420億円、1ルーブル=約1.75円)純利益は11.4%増の3,716億ルーブルの増収増益で、利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)は41%増の6,258億ルーブルだった。

輸出を含む天然ガスと石油ガス製品の販売増が増収につながった。欧州を中心とするガスプロムのCIS諸国以外への天燃ガス輸出は、欧州での厳冬の影響もあり前年同期比6.6%増の544億立方メートルで、3月には単月で2012年以降最高の生産量を記録した。

他方、ガスプロムの業績に短・中期的に影響を与えかねない状況も生じている。欧州委員会は5月24日、同社の天然ガス販売に際してのEU競争法違反に関する調査(2015年5月18日記事参照)を終了。同社は世界売上高の最大10%とされる巨額の罰金を免れた一方で、EU域内でa.天然ガスの自由な再販を妨げないこと、b.既存パイプライン網に接続されていない国への天然ガスの流通を促進すること、c.価格設定において液化天然ガス(LNG)などとの競争原理が働くメカニズムを導入すること、d.交渉を有利に進めるため(同社が所有する)天然ガス輸送インフラを利用しないこと、の4点を順守することを義務付けられた。

またガスプロムは5月30日、トルコ国営石油ガス・パイプライン輸送公社(BOTAS)との紛争(注)が和解に至り、BOTAS側へ近日中に10億ドルに上る補償金の大部分を支払う予定だと発表した。ロシア投資銀行大手のVTBキャピタルは、この支払いがガスプロムの今後のEBITDAにマイナス2.8%程度の影響を与えると予測している。

ノワテクは売り上げ好調も減益

民間天然ガス大手のノワテクも売り上げは好調だ。4月25日に発表した第1四半期の財務諸表(国際会計基準)によると、売上高は前年同期比16.0%増の1,794億ルーブルだった。同社が5割出資するLNGプラントのヤマルLNG1が稼働を開始したほか、LNG平均販売価格の上昇も増収に寄与した。

その一方で純利益は39.3%減の431億ルーブル。為替差損と前年同期に計上した投資回収による特別利益がなかったことによるもので、それらの影響を除くと5.8%増の469億ルーブルとしている。合弁企業への出資分を含むEBITDAは11.9%増の763億ルーブルとなった。

(注)2015~2016年にガスプロムがBOTASへ供給した天然ガス価格の割引率(ディスカウント)に関するもの。最終的に10.25%の割引率で合意した。

(高橋淳、市谷恵子)

(ロシア)

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