大連市、メッキ産業に特化した環境査察を強化

(中国)

大連発

2018年06月01日

大連市環境保護局は5月24日、同市のメッキ企業を対象にした査察調査の結果を公表した。日系企業1社を含む5社に、計95万元(約1,615万円、1元=約17円)の罰金を科した。日系企業の摘発の理由は、廃水のpH値および化学的酸素要求量の基準超過による環境違法行為があったためとしている。

進出日系企業も対象に

同局は、4月中旬からメッキ産業に特化した環境査察を開始した。対象は同市においてメッキ材料、電気鋳造、電解加工、金属の酸素洗浄、研磨などを行う48社のメッキ関連企業で、日系企業も10社ほど含まれている。各社の汚染排出許可制度、危険廃棄物管理制度、環境保護「三同時制度(注)」の実施状況、および汚染物質の排出状況を中心に、4分野130余りの項目に対し検査が行われている。

同査察は2018年末まで随時、実施される予定だ。同局は、今後一層検査を強化し、摘発企業に対しては期限付きで改善を求め、改善がみられない場合は罰則を強化するほか、状況によっては閉鎖を求める方針も示した。

環境分野のコンサルティングを専門に行う大連九州環境科技の張興文・総経理は「大連市のメッキ産業に対する取り締まり強化は、中国全体で環境規制が厳しくなっていることの表れだ」とした上で、「メッキ関連企業は、査察がなくても自ら汚染物質の排出状況を検査し、基準値に達していない場合には、適切な処理装置を据え付けるなど積極的な対策を講じるべきだ」と述べ、厳しさを増す環境規制に対し、企業の自主的な対応の重要性を説いた。

(注)「三同時制度」とは、施設の建設、改築、拡張などを行う際、主となる工事と汚染防止設備の「設計」「施工」「使用」を同時に行われなければならないという原則を定めたもの。

(呉暁東)

(中国)

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