過去最大の予算案発表、金融機関の上限金利撤廃も提案

(ケニア)

ナイロビ発

2018年06月21日

ケニア財務省のヘンリー・ロティチ長官が6月14日に発表した2018/2019年度(2018年7月~2019年6月)の予算案は前年度比11.8%増の2兆5,566億ケニア・シリング(約2兆8,123億円、Ksh、1Ksh=約1.1円)で、過去最大規模となった(表1参照)。1兆9,492億Kshを税収などの一般歳入で賄い、海外から2,870億Ksh、国内から2,719億Kshを借り入れる。

表1 2018/2019年度予算案の歳出入内訳

ロティチ長官は、予算案のテーマを「雇用創出、より良い生活への移行、繁栄の共有」とし、ウフル・ケニヤッタ大統領が2017年11月に2期目の就任式で述べた4つの項目(The Big Four)を2018/2019年度の重点目標とし、4,600億Kshを配分した。4つの項目の詳細は表2のとおり。

表2 2018/2019年度予算案「4つの項目(The Big Four)」 の主な内訳

4つの項目達成のため、インフラ開発、治安の安定、汚職撲滅、能力強化、技術革新の促進が必要との認識の下、これら分野にも引き続き重点的に予算が配分された。インフラ開発プロジェクト関連では、国内の道路網の改善や幹線道路の整備のため道路建設に1,159億Ksh、ナイロビとナイバシャを結ぶ標準軌鉄道開発に747億Ksh、安価な電力の供給のため地熱や風力など再生エネルギー開発に253億Ksh、2020年までに電化率100%を達成することを目標に電化率の向上に126億Kshが配分された。

注目されていた金融セクター改革案では、2016年9月に施行された金融機関に対する貸出金利の上限が、金融機関の貸し付けや経済成長に負の影響を与えたとの認識から、金利の上限を規定した修正銀行法(Banking Amendment Act 2016)の33項Bの撤廃が提案された。ロティチ長官は、中小事業者やスタートアップ向けの融資が円滑になるための国家信用保証スキームの構築や金融市場行動法案(Financial Markets Conduct Bill 2018)の起案によって、消費者保護のための包括的な仕組みづくりを行うとしている。

(島川博行)

(ケニア)

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