中国による鶏肉へのAD関税仮決定に遺憾の意

(ブラジル、中国)

サンパウロ発

2018年06月12日

ブラジル外務省、農務省、商工サービス省は6月8日、中国政府がブラジル産鶏肉に対してアンチダンピング(AD)関税を課すとの仮決定を下したことに遺憾の意を表明した。中国産業界から、ブラジル産鶏肉が市場価格を下回る水準で不当に販売され実質的な損害を受けているとの訴えにより、中国政府は2017年8月からAD調査を実施していた。

ブラジル政府と輸出業者はAD調査に協力すると同時に、ヌーネス外相、マッジ農務相、ジョルジ商工サービス相が立て続けに訪中、ブラジル産品が中国の国内産業に損害を与えている状況にないことを訴えてきた。8日付のプレスリリースでも、中国市場におけるブラジル鶏肉のシェアは5%にすぎず、調査期間中も中国産品の国内販売は増加しており、いかなる時もブラジル産品が阻害要因となっていないと主張。AD税を行う具体的な根拠が存在しないという理解の下、中国政府が最終的な課税決定に至らず調査を終了することを望むとしている。

商工サービス省によれば、鶏肉の輸出額は2018年1~5月に22億9,300万ドルと品目別で7位の輸出産品となっている。中でも中国はサウジアラビアに次ぐ3億3,200万ドルと、輸出額の14.5%を占めている。

一方、中国商務省は6月9日からブラジル産鶏肉の輸入業者に対して、取引額の18.8~38.4%の保証金の供託を求めている。報道によれば、商務省は29のブラジル産鶏肉輸出企業のリストを示し、主要食肉企業であるBRFは25.3%、JBSは18.8%が適用されるという。

(二宮康史)

(ブラジル、中国)

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