欧州委、使い捨てプラスチック製品を規制する法案を提案

(EU)

ブリュッセル発

2018年06月05日

欧州委員会は5月28日、1月に発表した「欧州プラスチック戦略」(2018年1月19日記事参照)を履行するための指令案を発表した。同戦略はプラスチック分野における循環型経済への移行を促すために策定されたもの。発表された指令案は、欧州議会とEU理事会で審議・採択された後に発効する。

ペットボトルや衛生用品など幅広い製品が対象

同指令案では、10品目の使い捨てプラスチック製品・素材(綿棒の芯、食器やカトラリー、風船とその棒、食品用容器、ドリンクカップ、飲料用容器、たばこ用フィルター、レジ袋、菓子類の包装フィルム、衛生用品)およびプラスチックを使用した釣具を対象とし、上市禁止や消費量の抑制を促すための製品要件やデザイン、ラベルの義務付け、などが提案されている。

主な提案内容は次のとおり(かっこ内は対象製品)。

  • 無料配布の禁止などを含む消費量を抑制するための措置の導入(食品用容器とドリンクカップ)
  • 上市禁止(綿棒の芯、フォーク、ナイフなどのカトラリー、皿、ストロー、マドラー、風船用の棒)
  • 上市の制限:キャップもしくは蓋が製品に付属する製品のみ上市を認める(ペットボトルなどの飲料用容器)
  • ラベル表示義務の導入:プラスチックの使用の有無、適切な廃棄方法、環境負荷などの情報を分かりやすく表示(生理用品、お手拭き、風船)
  • 拡大生産者責任(注)の適用(食品用容器、菓子類などの包装フィルム、飲料用容器、ドリンクカップ、たばこのフィルター、お手拭き、風船、レジ袋、釣具)
  • 上市されている製品の分別回収率(重量ベース)90%の2025年までの達成(飲料用容器)

欧州委は、2019年5月の欧州議会選挙前に何らかの結果が出るように、同法案の審議を優先して行うよう、欧州議会とEU理事会に求めている。

(注)製品の使用後の回収費用を生産者が負担するなど、生産者の責任を製品の使用後まで拡大させること。

(大中登紀子)

(EU)

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