オフショア商品の上場差し止めを求め提訴

(インド)

ムンバイ発

2018年06月06日

ムンバイのナショナル証券取引所(NSE)は5月21日、シンガポール証券取引所(SGX)が上場を予定していたインド指数を扱う金融派生商品の上場差し止めを求め、ボンベイ高等裁判所に提訴した。差し止めを求められたのは6月4日から取引開始の予定だった「SGXインド指数先物」「SGXインド指数先物オプション」「SGXインド銀行指数先物」の3商品。

SGXはこれまで、NSEの子会社インディア・インデックス・サービシズ・アンド・プロダクツと契約し、NSEからライセンスされた金融派生商品「ニフティ」シリーズを扱っていた。しかし、この契約が8月に終了することから、SGXはNSEと契約することなくこれに代わる上述3商品の上場を4月に発表していた。

NSEは5月29日付プレスリリースで、「NSEに関連する商品や指数の財産権はNSEにあり、これらを保護する」とし、NSEとの契約がないままSGXがNSEの指数を扱った金融商品の取引をすることに反発した。

インド取引市場拡大への誘導か

一方、SGXは5月22日付のプレスリリースで、「新規商品の法的正当性には絶対の自信がある」と述べ、同時にこれらの3商品は「機関投資家らがインド市場のリスクヘッジを行う上で不可欠なもの」と主張している。

これに対しNSEは5月29日のリリースで、「投資家は法的に認可された商品取引を通じインド市場へアクセスすべきだ」とし、海外投資家がインド市場への投資をSGXでなく、NSEや2017年1月にモディ首相のお膝元であるグジャラート州に設立されたグジャラート国際金融取引所などを通じて行うことを推奨している。

ブルームバーグ(電子版5月23日)などによると、インドの取引市場は「指数」を「財産権」の生じるものと捉えており、これを保護することを名目に海外市場でのインド投資を制限し、国内市場での投資を増やしたいとの思惑があるとされる。

(本庄剛、比佐建二郎)

(インド)

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