「ベイエリア」建設、詳細計画の発表遅れる

(香港、マカオ、中国)

香港発

2018年06月22日

中国政府が新たな地域発展計画として位置付けている「広東・香港・マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)」(以下、ベイエリア)の詳細計画の発表が遅れている。

ベイエリア地域の建設促進に向けて、国家発展改革委員会、広東省政府、香港特別行政区政府、マカオ特別行政区政府は2017年7月、計画の大枠を定めた「広東省、香港、マカオの協力の深化、グレートベイエリア建設推進に関する枠組み協定」を締結(2018年7月6日記事参照)した。2018年初に詳細計画が発表される見通しだった。

詳細計画の発表に合わせ、香港の5大商工団体の1つである香港中華総商会は、中国政府(国家発展改革委員会)、香港政府、広東省政府、マカオ政府の指導者を招いて、香港でベイエリアセミナーの開催を計画している。当初は4月開催の予定だったが、計画の発表が遅れていることもあり、開催が延期されている。

計画の発表が遅延している要因は明らかとなっていないが、香港経済日報(6月21日)は、「中国政府でベイエリア計画の最高責任者とされる韓正・常務副首相が5月に広東省を視察した際、『中央政府はベイエリア計画を非常に重視している。特にベイエリアの発展戦略は、習近平国家主席が自ら計画を立案、推進している。計画推進に当たっては、質が高く、スタート地点の高い計画を策定する必要がある』と述べた」と報じている。

香港政府の陳茂波財政長官は6月21日、「(ベイエリア)計画は、広東、香港、マカオ政府に加え、中央政府では国家発展改革委員会が音頭を取っている。ベイエリア内には『一国二制度』や、3つの関税エリア(中国本土、香港、マカオ)が存在している。ベイエリア内でヒト・モノ・カネ・情報の自由な移動を実現し、域内における経済発展のメリットを最大限に得るには、多くの政策でブレイクスルーが必要となる。これら政策面のブレイクスルーは、地方政府のみでは実現できず、中央政府が政策決定を行う必要がある」とした上で、「中央レベルでは、指導者自らが工作小組(ワーキンググループ)を指導している」と、ハイレベルで計画の検討が行われていることを示唆した。

さらに、陳財政長官は「具体的な計画の発表時期は把握していない」として、中国政府による計画策定作業と計画発表を見守る姿勢を示した。

(中井邦尚)

(香港、マカオ、中国)

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