シンガポール外相、米朝会談の場の提供は世界平和への貢献と認識-「米朝首脳会談」に対する見方-

(シンガポール、米国、北朝鮮)

シンガポール発

2018年06月08日

シンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相は6月5日、訪問先の米国で記者団に対し、12日の米朝首脳会談の場所を提供することは、「シンガポールとしての世界平和への貢献だ」との認識を示した(「ストレーツ・タイムズ」紙6月7日)。同外相は「会談が開催されること自体、意義深い」と述べた。その上で、「われわれが望むことは(会談が)対立の悪化に歯止めを掛け、平和への展望を明るくし、北朝鮮にとっても自国経済の状況改善につながるものであってほしい」と語った。また、同外相は、米朝首脳会談を前にした6月7~8日に北朝鮮を公式訪問し、李容浩(リ・ヨンホ)外相と会談した。

リー・シェンロン首相は6月4日付香港紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」に掲載された米コラムニストとのインタビューで、同国が開催地として選ばれた理由について「(米朝)双方と友好関係にあり、双方がシンガポールは有効に開催国としての役割を果たせると信じている」と指摘した。シンガポールは米朝双方と国交がある。過去、中立的な会談の場としてシンガポールが選ばれたのは、近年の事例では2015年11月の中国・習近平国家主席と馬英九台湾総統(当時)との中台首脳会談がある。

6月10~14日、会談場所ホテルの島周辺や関連する市中心部は警戒区域に

シンガポールでは6月10日から14日まで、米朝首脳会談の会場となる南部沖のセントーサ島のカペラ・ホテル周辺地域や、トランプ米大統領が滞在するとみられるホテルのある中心部の一部区域が、厳重警備の対象となる。

シンガポール警察の6月6日付の発表によると、セントーサ島と対岸の一部区域、そして繁華街オーチャードの一部区域が「警備強化特別イベント」地域に指定される。また、特に会場となるホテルと宿泊先周辺については「特別ゾーン」に指定され、ゾーンに入る人や車について特に警戒が厳重となる。警備強化特別イベント地域に指定された区域では、危険物、拡声器、1平方メートル以上の横断幕などの持ち込みが禁止されるほか、ドローンなど遠隔操作可能な飛行物を飛ばすことも禁止の対象となる。

同国では4月27~28日に開催されたASEAN首脳会議でも、会場となった繁華街オーチャードのシャングリラホテルを中心する区域が警備強化特別イベント地域に指定されていた。同区域内では警備が強化され、一部渋滞も予想されるが、区域内の店舗のなどへの影響は限定的とみられる。

(本田智津絵)

(シンガポール、米国、北朝鮮)

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