通貨不足を背景に携帯電話送金サービス「Eco Cash」が流行

(ジンバブエ)

ヨハネスブルク発

2018年05月30日

ジンバブエでは、2017年11月に37年間にわたったムガベ政権が終わり、エマーソン・ムナンガグワ大統領の下で新政権が発足した。発足から約半年が経過したが、外貨および現地通貨不足が続き、地元銀行で貯蓄した現金が引き出せず、決済・送金の不便さは解消されていない。そのような中、新たな携帯電話送金サービスである「Eco Cash」が流行している。

同サービスは、地元エコネット・ワイヤレスが始めたサービスで、ケニアで流行しているエムペサ(M-Pesa)と同様に、携帯電話のネットワークを介して送金するサービスだ。携帯でEco Cashのアプリケーションをダウンロードし、保有する銀行口座とリンクさせれば、携帯電話で口座にある貯金から送金することが可能となる。

同国では銀行口座を持たない人も多数いることから、口座を持っていない人でもEco Cash取次店にアカウントを開いて現金をデポジットとして預ければ、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を利用して送金することができる。サービス開始をしたのは2011年9月にさかのぼるが、昨今の現金不足の影響で急速に利用者が増えている。首都ハラレにあるショッピングモールにあるEco Cash取次店では、アカウント開設などの手続きのため大行列ができている。

写真 Eco Cash取次店店舗(左写真)とEco Cash取次店にできた行列(右写真)(共にジェトロ撮影)

同国では、出稼ぎ労働者が稼いだ現金を田舎の親族へ数時間もかけて持参せざるを得なかったものが、こうしたサービスによって携帯電話ですぐに送金が可能となったため、生活が一変したという。また、地元のスーパーマーケットやレストランでもEco Cashが積極的に活用され、同サービスを通じた支払いにより、消費者が現金やクレジットカードを持ち歩くことが少なくなったという。

(築館弘和)

(ジンバブエ)

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