ラマダン開始、活況を呈す「ラマダン商戦」に注目

(パキスタン)

カラチ発

2018年05月18日

ヒジュラ暦1439年のラマダン(断食月)が5月17日、開始された。パキスタンではイスラム教が国教で、人口の95%以上がイスラム教徒で構成されるため、ラマダン時期はさまざまな変化が表れるため、留意が必要だ。

ラマダン期間は、1年で最も経済活動が活発化する。試算によると、2016年の「ラマダン景気」の規模は5,500億ルピー(約5,280億円、1ルピー=約0.96円)だった(「DAWN」紙2016年6月27日)。日の出から日没まで飲食しない代わりに、日没後は豪勢な食事を取る習慣があり、外食の頻度も増える。パキスタンのレストランは、この時期の営業時間を変更するのが一般的で、日中に営業しない代わりに日没後からは忙しくなる。ラマダン期間中の特別メニューを用意する店もあり、夜間は家族連れなど多くの客でにぎわう光景が見られる。

期間中は商業施設への来客数も増える傾向にあり、期間限定セールを打ち出す店も多い。食費や衣類など家計支出の増加に伴い、海外からパキスタンへの送金も拡大する。

ラマダン中は治安の不安定化などに留意

日本人がラマダン期間中に留意すべき点に、安全対策がある。ラマダン中はテロなどが発生しやすく、治安が不安定化する傾向にある。さらに、断食している運転手は疲労しており、睡眠不足で注意散漫になりやすく、交通事故も増える。

また、一般的に労働時間が短縮されるため、企業のアポイントメントは取りづらく、出張には適さない時期といえよう。労務管理の面では、日没後に食べる断食後の軽食(イフタールと呼ばれる)を従業員が時間どおりに取れるよう配慮する必要がある。

(野上活)

(パキスタン)

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