モロッコがイランと国交断絶
(モロッコ、イラン)
中東アフリカ課
2018年05月09日
モロッコのナセール・ブリタ外相は5月1日、イランのモハマッド・ジャバッド・ザリフ外相と会談し、国交断絶の意向を伝えた。イランがレバノン系シーア派武装・政治組織であるヒズボラを通じて、ポリサリオ戦線に軍事的支援を行っていることを理由としている。
ポリサリオ戦線は、モロッコが領有権を主張している西サハラをめぐり独立運動をしている武装・政治組織で、アルジェリアから支援を受けているとされており、翌2日の記者発表でブリタ外相は、今回のヒズボラを通じた軍事的支援は在アルジェリア・イラン大使館の関係者によるものだと述べた。モロッコはその事実に対して確たる証拠を有しているとしているが、イランは疑惑を否定している。
モロッコの現地報道によると、2日にはサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタールなどの湾岸諸国がモロッコの決断を支持するコメントを続々と発表。3日にはサウジアラビアのサルマン国王がモロッコのモハメッド6世国王と電話会談を行い、直接支持を伝えたという。モロッコは今般の断交はポリサリオ戦線への軍事的支援によるものだと主張しているが、イランとの対立を深めるサウジアラビアの影響も背景にあるとみられている。
(清水美香)
(モロッコ、イラン)
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