大統領選、ロペス・オブラドール候補の優勢が続く

(メキシコ)

メキシコ発

2018年05月08日

7月1日に実施される大統領選挙に向けた選挙戦で、左派連合が推すアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(通称:AMLO)候補が支持率で2位以下に10ポイント以上の差をつけて独走している。4月22日に実施されたテレビ討論会では、リカルド・アナヤ氏に押され気味の印象を与えたが、支持率には影響を及ぼさなかったようだ。選挙戦の争点は治安や汚職で、国民行動党(PAN)から制度的革命党(PRI)へと続いた過去2政権の治安対策の失敗や汚職の蔓延を厳しく追及するAMLO氏の支持率に陰りは見えない。

メキシコ大統領選挙には、現政権与党であり中道の制度的革命党(PRI)および連立を組むメキシコ緑の党(PVEM)と新同盟党(PANAL)が推す前大蔵公債相のホセ・アントニオ・ミード氏、中道右派の国民行動党(PAN)と中道左派の革命民主党(PRD)および市民運動(MC)が推すリカルド・アナヤ氏、国家再生運動(Morena)と労働党(PT)の左派2党と中道の社会集会党(PES)が推すAMLO氏、独立候補のマルガリータ・サバラ前大統領夫人、同じく独立候補でヌエボレオン州知事(2018年1~6月まで休職中)のハイメ・ロドリゲス氏の5人が立候補している。4月25~30日に有権者1,000人に対して実施されたパラメトリアの最新の世論調査によると、各候補の支持率はAMLO氏が39%で首位、アナヤ氏が25%で2位、ミード氏が14%で3位となっている(添付資料の図参照)。

他の世論調査ではAMLO氏の支持率が40%を超えている結果もあり、AMLO氏の優勢が続く情勢だ。ただし、まだ立場を決めていない「未定・未回答」の比率も12%あり、大統領候補のテレビ討論会も今後さらに2回行われる予定であるため、これらの票の行方次第では、逆転の可能性が残されている。メキシコの大統領選挙は完全な直接選挙で決選投票もないため、1%以下の僅差でも得票数が最多の候補が当選する。

議会選挙でもMorenaが躍進か

7月1日には大統領だけでなく、国会の上下両院の全議席が改選される。パラメトリアは、国会議員選挙でどの政党に投票するかについても調査している。上院、下院ともMorenaに投票すると答えた有権者の比率(両院とも25%)が最も高く、PAN、PRIと続く(添付資料の表参照)。改選前の現国会においてMorenaの議席占有率は、上院で0%、下院で9.4%にすぎないため、今回の世論調査結果の情勢が当日の選挙に反映されると、Morenaが議会でも大きく躍進することになる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

ビジネス短信 e7490c592f3e0cf3