日本とアルゼンチン、相互に牛肉輸入解禁へ

(アルゼンチン、日本)

ブエノスアイレス発

2018年05月16日

アルゼンチンのルイス・ミゲル・エチェベレ農産業相と齋藤健農林水産相は5月14日、東京都内で会談し、2018年7月にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されるG20農業相会合時までに、同国パタゴニア産牛肉・羊肉と日本産牛肉が相互に輸出可能となるよう必要な手続きを進めていくことで合意した。

アルゼンチン政府は自国の農産品の海外展開の多角化に取り組んでいる。2018年に入り、中国の牛肉市場への全面輸出解禁が発表された。日本向けの牛肉については、アルゼンチンでの口蹄疫の発生によって、近年日本は輸入をしてこなかった。しかし、同国南部のパタゴニア地方は国際獣疫事務局(OIE)においても口蹄疫ワクチン非接種清浄地域と認定された地域で、日本への牛肉輸出が可能となる。

現地メディアは、日本の輸入牛肉市場の規模が「生鮮牛肉19億ドル、冷凍牛肉11億ドル」と報じ、新規市場参入への期待も聞こえてくる。エチェベレ農産業相も今回の訪日に合わせ、日本食肉輸出入協会の会員企業へのトップセールスを行うなど余念がない。

ただし、パタゴニア地域の肉牛飼育頭数は、アルゼンチン全体の5%未満ということもあり、むしろアルゼンチン政府は主要生産地でありながら口蹄疫ワクチン接種清浄地域である同国北部地域の解禁の市場開放に関心を示している。

また、日本産牛肉はアルゼンチンの市場に初参入となる。現地では既に海外産の「さし」の入った牛肉に「KOBE BEEF」といった名称を付け、複数の現地高級レストランのメニューに登場しており、1人当たり年間60キロ近くの牛肉を消費する「牛肉愛好国」アルゼンチンにも和牛は高所得層を中心に知られた存在になっている。現地高級レストランのシェフに和牛の関心を聞いたところ、是非試してみたいといった前向きなコメントも早速聞かれている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン、日本)

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