日本に各国首脳を迎え、第8回太平洋・島サミット開催

(オセアニア、日本)

アジア大洋州課

2018年05月23日

第8回太平洋・島サミット(PALM8)が5月18~19日、福島県いわき市で開催された。各国・地域の代表らは、太平洋における、法の支配に基づく海洋秩序、持続可能な発展の基盤強化、人的交流の活性化、国際場裡(じょうり)における協力、などについて議論を行った。

法の支配、持続的発展、人の交流を主題に

第8回太平洋・島サミット(PALM8)には、日本、南太平洋の16の島しょ国・地域、オーストラリア、およびニュージーランドの首脳らが参加した(注1)。同会議は日本主導で1997年から3年ごとに開催され、8回目の今回の主要テーマは、「法の支配に基づく海洋秩序」「持続可能な発展の基盤強化」「人的交流の活性化」などだった。

「法の支配に基づく海洋秩序」については、太平洋における航行の自由や、連結性強化による経済発展、海上の平和・安定が議論された。連結性を通じた経済発展について日本は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、太平洋とインド洋の連結性強化のため、インフラ整備などを支援する方針だ(注2)。

また「持続可能な発展の基盤強化」に関しては、各国間の情報通信技術(ICT)、貿易・投資における協力強化が議論された。関連して、PALM8前日の5月17日に東京で、「日本・太平洋島しょ国経済フォーラム」が開催された。同フォーラムには、日本政府と各国首脳らのほか、南太平洋でのビジネスに関心を持つ日本企業も参加し、再生可能エネルギー、野菜工場、医療コンテナなど日本企業の事業が紹介された。また現地の投資環境についても紹介され、改善に向けた議論もされた。

現地では、ソーラーパネルなど環境ビジネスに取り組む日本企業、またココナツオイルを利用した化粧品、カカオを原料とする高級菓子など、現地農産品に付加価値を付け日本に輸入している企業もある。「小さな島国だからこそ少ない資本で事業展開し、制度策定にも参画しやすい」などのメリットも企業からは聞かれる。政府レベルでの経済協力強化合意の下、日本との貿易・投資の深化が期待される。

(注1)外務省によると、今回のPALM8では、日本、島しょ14カ国、ニュージーランド、オーストラリアに加え、新規参加のニューカレドニアとフランス領ポリネシアの2地域を含む19カ国・地域の首脳などが参加した。

(注2)自由で開かれたインド太平洋戦略とは、安倍晋三首相が、2016年8月にケニアで開催されたTICAD VIにて発表した構想。

(田口裕介)

(オセアニア、日本)

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