トルコ中銀、大統領の反対押し切り利上げを断行

(トルコ)

イスタンブール発

2018年05月02日

トルコ中央銀行は4月25日の金融政策決定会合で、実質的な政策金利である後期流動性貸出金利を12.75%から75べーシスポイント(bp)引き上げ、13.50%とした。ただし、主要政策金利である1週間物レポ金利(8.0%)、翌日物貸出金利(9.25%)、翌日物借入金利(7.25%)は据え置いた。

今回の利上げは、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領からの金利引き下げ圧力の中、2017年12月以来、4カ月ぶりに実施された。中銀は声明で、リラ安の進行による輸入物価の上昇による国内物価への影響を抑えるため、利上げに踏み切ったと説明した。3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比10.23%上昇だった。リラ相場は、既に年初から対ドルで7.3%、対ユーロで9.0%下落しており、1~3月の貿易赤字は前年同期比で64.1%増となった。

トルコ・リラは、発表直後に対ドルで4.04リラ前後まで上昇がみられたが、すぐに売りが優勢に転じ、発表前の水準以下となる4.10リラ前後に下落した。その後月末にかけて徐々に持ち直し、5月2日現在4.03リラで推移している。

トルコ国内では、「金利を据え置いた場合生じたと考えられるリラ下落を防ぐことができた」と中銀の決定を評価する声もある。一方、6月7日に予定されている次回会合が、大統領・総選挙(6月24日)前であることから、中銀による「必要に応じて追加引き締めに踏み切る」ことは難しいとの見解が主流となっている。米国大手金融機関JPモルガン・チェースは、「選挙後の7月に50bpの引き上げがある」と予想している。

(中島敏博)

(トルコ)

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