第32回ASEAN首脳会議が閉幕

(ASEAN)

バンコク発

2018年05月02日

第32回ASEAN首脳会議が4月28日、シンガポール・シャングリラホテルで開催された。ASEAN首脳会議は春と秋の年2回開催され、春は当該年の主要目標が、秋は対話国を招いた成果の取りまとめが行われる。

強靭性、革新性をキーワードに首脳構想を採択

今回は、議長国シンガポールが「強靭(きょうじん)性とイノベーション」を主要テーマとする「強靭で革新的なASEANのためのASEAN首脳構想」を採択し、「ASEANスマートシティネットワーク(ASCN、注)」の設立を本年の主要成果とすることが決定された。

「ASEAN首脳構想」はASEANの団結や中心性の再確認、ルールに基づいた秩序構築、保護主義やグローバルで起こっている脆弱(ぜいじゃく)性に対抗するためのオープンで競争的な市場環境の保持、技術革新の積極的な導入など、10の原則に基づき、安全保障分野、経済統合分野、災害などへの強靭性確保、持続可能開発分野など、37の具体的なアクションを列挙したものだ。

また、「ASEANスマートシティネットワーク」は、スマートシティ間の連携枠組みやスマートシティごとの開発行動計画(2018~2025年)を定めるもので、スマートシティ開発の促進、民間セクターにおける融資可能案件の創出支援、ASEANの外部パートナーからの融資・支援確保を目的としている。

デジタル分野の経済統合を推進

その他の経済分野では、ASEANシングルウインドー(ASW)に基づくASEAN物品貿易協定(ATIGA)原産地証明書の電子証明書の導入(2018年1月から、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム5カ国で運用開始)や、認定経済事業者(AEO)制度のASEAN域内の相互認証アレンジメント導入に向けた調査提案などが歓迎された。また、ATIGAにおける自己証明制度の年内導入や、ASEANサービス枠組み協定(AFAS)最終パッケージ交渉の年内妥結、AFASの規定を強化したASEANサービス貿易協定(ATISA)の年内署名などが期待される。

デジタル貿易分野では、議長声明中で特筆され、ASEAN電子商取引協定の年内署名を目指すことやASEANデジタル統合枠組み策定のほか、イノベーションのエコシステムをつなげるため、ASEANイノベーションネットワークの立ち上げなどが認識されている。

(注)都市機能・サービスを効率化し、利便性の向上や安心・安全を実現した都市で、各国・地域の首都を含む26都市が選定されている。

(蒲田亮平)

(ASEAN)

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