環境市場にビジネスチャンス

(中国)

上海発

2018年05月25日

中国環境保護部直属の環境保護専門の新聞社である中国環境新聞社は、「2018年環境保護産業動向」(以下、動向)を発表(5月4日)した。動向では、2018年を産業発展と環境保護が対立する時代から融合する時代へと変化した「大融合」元年であるとした。具体的には業界をまたいだ企業間の資本提携が始まっており、競争も激化している。一方で、外部からの資本参入によって環境産業が大きく発展するチャンスが到来したと予測している。

資本提携の例として、国有企業の環境分野への参入が挙げられる。国有企業98社のうち、既に68社が環境分野に参入している。2017年9月、国有企業の北控水務集団はオーストラリアの水資源企業を買収し、2018年1月に延吉京城環保産業の株式を80%買収した。また、華為技術(ファーウェイ)、百度(バイドゥ)などの大手民間企業も環境ビジネスに参入しており、2017年の環境保護企業による合併・買収案件は86件で、総額385億元(約6,545億円、1元=約17円)に及んだという(添付資料参照)。買収手法も多様化しており、2016年度は約80件の環境企業の買収案件があったが、そのうち11件が新三板(店頭市場)上場企業による買収案件だった。

「大気十条」などへの評価と課題

動向では中国政府の中長期的な環境保護の行動計画についても評価している。2017年末に行動計画の終期を迎えた「大気十条」が初期の目標を達成したことを評価した。2020年に終期を迎える「水十条」については、目標達成のために工業集積エリアの整備、工場環境の改善、農村環境の管理、家畜養殖汚染の防止など水質に影響を及ぼす問題点を指摘した。また、「土十条」については、2017年17の省において、土壌環境の重点監督企業として4,507社がリストアップされ、重点企業を中心に土壌修復が進められる体制が整ったという。

(呉秀媛)

(中国)

ビジネス短信 9d4b133f0993dbd7