第1四半期GDP成長率、約7年ぶりの高い水準に

(香港)

香港発

2018年05月22日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)統計処は5月11日、2018年第1四半期の香港の実質GDP成長率を前年同期比4.7%(名目成長率は9.1%)と発表した。2017年第4四半期(前年同期比3.4%)より1.3ポイント上昇し、2011年第2四半期(5.1%)以降で最も高い成長率となった。季節調整済みの成長率(前期比)は2.2%と、2017年第4四半期より1.4ポイント上昇した。

深センを引き続き上回る

名目GDPは6,879億6,600万香港ドル(約9兆6,315億2,400万円、1香港ドル=約14円)と、香港のGDPを追い上げる広東省深セン市の名目GRP(域内総生産、5,209億8,100万元)を58億8,900万ドル上回った(IMF公表の期中平均レートにより米ドルに換算して算出)。

需要項目別にみると、個人消費支出は前年同期比8.6%増と、前期(同6.3%増)より2.3ポイント上昇し、政府消費支出と合わせた消費のGDP成長率に対する寄与度は6.1ポイントと、成長率の主な押し上げ要因となった(添付資料の図参照)。良好な雇用環境、賃金上昇による所得増加および不動産価格の上昇に伴う資産効果が消費意欲を押し上げた。

固定資本形成は3.8%増と、前期(3.1%増)比で増加幅が拡大したものの、在庫増減を含めた成長率への寄与度は0.1ポイントとなった。

財輸出(実質ベース)は5.2%増と、前期(3.4%増)より1.8ポイント上昇した。企業による生産活動の活発化に伴い、アジア、とりわけ中国本土向けの原材料や半製品の輸出が大きく伸びたほか、欧米向けの輸出も拡大した。

サービス輸出も7.5%増と、前期(3.9%増)比で3.6ポイント上昇した。第1四半期の海外から香港への来訪者数は9.6%増の1,561万人に達し、インバウンド向けを含む同四半期の小売売上高は1,299億2,200万香港ドル(14.3%増)となった。一方、財・サービス全体の純輸出の成長率に対する寄与度は、財輸入の増加もあり、マイナス1.6%となった。

第1四半期の成長率は、香港政府が2017-2018年の財政予算案公表時(2月28日)に発表した2018年通年の成長率予測値(3~4%)を上回る結果となった。香港政府は、貿易や金融面を中心に香港を取り巻く外部環境の不透明性が高まっていることを理由に、通年のGDP成長率予測を3~4%に据え置いた。

(吉田和仁)

(香港)

ビジネス短信 9a1ed85704878ae9