再生可能エネルギーの開発は今後の課題

(ベトナム)

ハノイ発

2018年05月11日

ジェトロは4月24日、「ベトナム電力事情と同ビジネス参入の可能性」をテーマにセミナーを開催した。同セミナーは、3月末に公表した「ベトナム電力調査2017」を当地日系企業へ周知することが目的で、同調査の担当者より詳細な解説を行った。

石炭火力発電が主力

2016年のベトナムにおける総発電量(輸入を含む)と電源開発はともに、従来から引き続き、石炭火力が増加した。総発電量は2015年に続き、石炭火力発電が水力発電を抜き1位となった。改定第7次国家電力マスタープラン(改定PDP7)によると、今後は石炭火力発電所の大型案件が多く、2030年には総発電量の約5割になる計画だ。しかし、当地において環境汚染への懸念から石炭火力発電所の建設を躊躇する声も出ており、今後の動向を注視する必要があると指摘した。

再生エネルギーに関しては、風が強く日照時間が長い南部で電源開発案件が集中していると報告された。稼働状況をみると、風力発電の稼働は一部にとどまり、太陽光発電の稼働はみられず今後に期待がかかる。

日本企業の参入は地場企業とのネットワーク形成がポイント

日系企業の電力ビジネスへの新規参入に関しては、コストも含め難しい面が多いとの見方が示された。例えば、送配電ビジネスは地場や中国企業の参入が多いが、日系企業はコスト競争力で劣るため参入しづらく、また、再生可能エネルギー分野は、外資単独の場合の土地収用、電力購入契約(PPA)の交渉の難しさやファイナンスなどが課題となる。一方で、高い品質が求められる一部設備・製品については参入の可能性があり、現地を訪問して案件形成に関する最新情報を入手し、現地政府機関やパートナー候補となり得る地場企業とのネットワークを形成することが重要だと力説した。

同セミナーの出席者からは、再生可能エネルギー事業への参入障壁についてや、安定した電圧を維持する技術をビジネスにできないかなどの質問が出され、電力事業に対して非常に高い関心がみられた。

(柴田知賢)

(ベトナム)

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