CANが税関管理手数料の廃止命令を一時取り下げ

(エクアドル)

ボゴタ発

2018年05月16日

アンデス共同体(CAN)は5月8日、税関管理手数料廃止命令に対するエクアドル税関からの再審査請求を認め、手数料廃止を命じた決議書を一時的に取り下げると発表した。

税関業務の混乱を避けるための判断

エクアドルは2017年11月13日以降、輸入者に対する取引円滑化サービス提供名目で税関管理手数料を課している。CAN加盟国のコロンビアとペルーは2018年1月、手数料の徴収はCANのカルタヘナ協定で定める自由貿易の原則に反するとして、CAN事務局へ調査を依頼した。

これに対し事務局は、同手数料を実質「課税」と見なし、2018年4月20日付で、エクアドル税関に対し10営業日以内の撤廃を命ずる決議書を出した。これに対し、エクアドル側は、手数料の廃止は輸入業務の継続を困難にさせ、国に著しい損害を与えると述べ、5月7日付で再審請求を提出していた。

CAN事務局は、エクアドル税関の主張を認め決議書を一時的に取り下げた理由として、廃止された場合の税関業務の混乱やサービスの制限、それにより生じる損害の大きさを考慮したと述べている。

手数料徴収により2,810万ドルを調達

エクアドル税関によると、2017年11月13日から2018年5月6日までの間、徴収した手数料の金額は2,810万ドルに達している。CAN事務局は30日間から最大45日間の再審査期間を有しており、この間エクアドル税関は引き続き輸入者に対し手数料を課すことができる。

エクアドル税関と外務省は、CAN事務局が再度手数料の廃止を命じた場合、アンデス仲裁裁判所での対抗措置も示唆している。一方、グアヤキル商工会議所などは、税関と外務省の姿勢に対し、現在交渉中の北欧諸国との貿易協定などに影響が出るだろうとの懸念を示している。

(茗荷谷奏)

(エクアドル)

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