国家共通の電子インボイスに欧州規格「PEPPOL」を採用

(シンガポール)

シンガポール発

2018年05月28日

シンガポールのS・イスワラン情報通信相は5月21日、国家共通の電子インボイス(請求書)の共通規格として、欧州の「汎(はん)欧州オンライン公的調達(PEPPOL)」の採用を発表した。PEPPOLは電子請求書や電子発注書など電子文書をネットワーク上でやり取りするための規格で、欧州の公共調達のため採用されたもの。同規格での電子文書やり取りを可能にするアクセス・ポイントは欧州、米国、カナダの19カ国に合計176カ所。今回、国家としてPEPPOLを採用するのは欧州以外では、シンガポールが初となる。

請求書の電子化は、発注書の作成作業や支払いのサイクルを短縮化して、コストを削減できるほか、支払い状況の可視化により企業にとってキャッシュフローの管理を改善できるメリットがある。ただ、複数の電子請求書の規格があり、相互に運用できない現状を受け、シンガポール政府は今回、電子請求書の統一規格としてPEPPOLの採用を決めた。

PEPPOLの規格に基づく電子請求書は、政府機関が先導するかたちで導入を開始する予定だ。一般会計局、エンタープライズ・シンガポール、政府テクノロジー庁(GovTech)のほか、DBS銀行、IBMシンガポール、シンガポール・テレコム(シングテル)など40以上の政府機関と企業が同電子請求書を導入する意思を表明している。

今回のPEPPOLの発表は、スマート国家の実現を目指すシンガポール政府の方針に基づき、企業のデジタル化を支援するために情報通信メディア開発庁(IMDA)が同日開催した、大型イベント「シンガポール・デジタル(SG:D)産業デー」で発表した一連のイニシアチブの1つ。電子インボイスの取り組みの詳細はIMDAの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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