公正取引委員会、32の相互出資制限企業集団を発表

(韓国)

中国北アジア課

2018年05月09日

公正取引委員会は5月1日、32企業集団を「相互出資制限企業集団」に指定したと発表した。同委員会では1987年から毎年、一定規模以上の資産を持つ企業集団を指定し、発表してきた(2017年6月1日記事参照)。指定基準は総資産10兆ウォン以上(約1兆円以上、1ウォン=約0.1円)。「相互出資制限企業集団」に指定されると、(1)各種の公示義務、(2)総帥に対する不当な利益提供の禁止、(3)企業集団内の相互出資・新規循環出資の禁止、(4)企業集団内の債務保証の禁止、(5)金融保険企業への議決権行使の制限、が課される(注)。

今回、「相互出資制限企業集団」に指定された32企業集団(系列企業数1,332社)は表のとおり。2017年に比べると、大宇建設が指定対象から外れ、教保生命保険とコーロンが新たに指定されたため、「相互出資制限企業集団」の数は1集団増加した。

公正取引委員会では企業集団ごとの総資産、自己資本、負債、売上高、当期純利益などを公表している。上位の集団の売上高、当期純利益(いずれも金融・保険会社を含めない)をみると明暗が分かれた。好調だったのはサムスン、SKだ。サムスンは売上高が前年比15.5%増、当期純利益は前年の2.43倍に、SKは売上高が前年比25.6%増、当期純利益は前年の2.54倍に拡大した。いずれも半導体事業が好調だったことが大幅な増収増益につながった。半面、現代自動車は売上原価の上昇と中国など海外事業の不振が響き、売上高は前年比0.6%増と微増にとどまり、当期純利益は前年比35.4%減と大きく減少した。

表 相互出資制限企業集団指定状況(2018年5月1日基準)

(注)公正取引委員会では、同時に、60企業集団を「公示対象企業集団」に指定したことを発表している。「公示対象企業集団」の指定基準は総資産5兆ウォン以上で、このうち、総資産10兆ウォン以上の企業集団が「相互出資制限企業集団」に指定され、本文中の(1)から(5)の義務を課せられる。他方、総資産5兆ウォン以上10兆ウォン未満の企業集団には、(1)各種の公示義務、(2)総帥に対する不当な利益提供の禁止の2点のみを義務として課せられる。

(百本和弘)

(韓国)

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