マクロン大統領、米離脱後もイラン核合意存続に努力

(フランス)

パリ発

2018年05月10日

米国のイランの核開発に関する「共同包括行動計画(JCPOA)」離脱を受け、エマニュエル・マクロン大統領は5月8日夜、「フランス、ドイツと英国は米国のイラン核合意離脱を遺憾に思う。核不拡散の国際レジームが危機にさらされている」「われわれは(イランの核問題について)、2025年以降の核開発活動や弾道ミサイル開発、イラク、イエメン、シリアをはじめとする中東情勢の安定を含む大きな枠組みの中で取り組んでいく」とツイートした。

大統領府の発表によると、マクロン大統領は5月8日、米国のドナルド・トランプ大統領との電話会談で中東の平和、安定について議論した。内容は公開されていないが、各種報道によれば、同電話会談でトランプ大統領がマクロン大統領にJCPOA離脱の意向を直接伝えたという。マクロン大統領は4月の訪米の際、離脱を阻止するため、トランプ大統領に新たなイラン核合意に向け協議することを提案していた。

米国離脱後も、フランスはJCPOAの存続に向け努力を続ける方針だ。ジャン=イブ・ル・ドリアン欧州・外務相は5月9日、米国の離脱後も「イラン核合意は存続する」ことを強調、「同協定は中東の安定を保障するもの。われわれは同協定にとどまる。イランがそうすることを望む」とした。同相は米国の離脱により「中東における紛争勃発のリスクは現実的なものになった」と懸念、マクロン大統領は関係各国を集めた交渉開始に向け、イランのローハニ大統領と電話会談することを明らかにした。

他方、ブルノ・ルメール経済・財務相は5月9日、米国の離脱について「米国が世界経済の警察を自任することは容認できない」と批判、同相は米国の財務長官と電話会談し、欧州企業にイラン制裁措置適用を免除する特別措置の発効について協議する意向を示した。米国によるイラン制裁措置の復活で、JCPOA合意後、イラン向けビジネスを再開していた航空機のエアバス、石油のトタル、自動車のルノーやグループPSA、アコーホテルなどのフランス企業が影響を受けると当地各紙は報道している。

(山崎あき)

(フランス)

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