マレーシア総選挙、史上初の政権交代

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年05月11日

マレーシアで5月9日に実施された総選挙は、野党連合の希望連盟(PH)の構成政党である人民正義党(PKR)と民主行動党(DAP)が合わせて113議席を獲得し、国民戦線(BN)に34議席の差をつけて勝利した。マレーシアにとっては、1957年の独立以来、初めての政権交代となる。

第3極となった汎(はん)マレーシア・イスラーム政党(PAS)は、支持基盤の東海岸を中心に18議席を獲得した。選挙当日は公休日となったものの、平日実施となったことで投票率は前回より9ポイント低い約76%となった。同時に行われた州議会選挙では、PHがジョホール、ケダ、マラッカ、ネグリ・センビラン、ペラ、セランゴール、ペナンを合わせた7つの州議会で過半数を獲得した。

マレー系有権者の票が分かれる

調査会社ムルデカ・センターが4月26日に行った調査では、有権者が投票において重視する上位項目として、物価上昇、汚職、雇用創出の3点が挙げられていた。また、同センターは選挙結果について「マレー系有権者の約8%が野党支持となるが、依然与党連合が優位」とみていた〔「エッジ」紙(4月26日)〕。

2017年以降の好調な経済成長もBNを後押しする材料になるという見方もあったが、政府系投資会社ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)をめぐる汚職疑惑に端を発する与党への不信感から、BNの主要支持層であるマレー系有権者による与党離れが予想以上の影響を与えた。特にBNの筆頭政党である統一マレーシア国民組織(UMNO)の発足の地であり、長年BNが政権を担ってきたジョホール州においても、連邦議会で26議席中18議席、州議会で56議席中36議席と、3分の2近い議席をPHが獲得した。

表 第14回総選挙結果

(田中麻理)

(マレーシア)

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