トラック輸送業界スト問題、燃料供給の不足は徐々に解消へ

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年05月31日

トラック貨物業界の抗議活動とストライキが始まって5月30日で10日目を迎えた。5月27日の政府と業界団体の合意を受け、徐々に交通や物流の混乱は沈静化の動きをみせている。燃料配給事業者の業界団体(Plural)は5月30日、軍隊や警察の出動もあり、ブラジル北部、北東部、南東部で平常時の60%の水準で石油タンクローリーが巡回し始めたほか、サンパウロ市をはじめ製油所のある重点都市部では平常時の2倍の水準で車両が給油活動に当たっているとしている。

その効果もあって、5月30日はサンパウロ市内の多くのガソリンスタンドが給油サービスを開始し、車が長蛇の列をなす光景が見られた。またサンパウロ州都市交通公社(EMTU)によれば、30日時点でサンパウロ市の朝晩の通勤ラッシュ時における運行状況は、平常時の8割に回復したと発表した。ただし、サンパウロ州の内陸都市では平常時の5割と低い水準のところもある。なお、サンパウロ市は30日、状況の改善を受け、25日に発令した緊急事態宣言を31日(聖体祭の祝日)に停止すると発表した。

空港公社インフラエロは5月30日午後7時時点で、管轄する54国内空港のうち、ミナスジェライス州ウベランジア、トカンチンス州パウマス、パラナ州ロンドリーナなど合計8つの空港で燃料が不足しているという。報道によれば、サンパウロやリオデジャネイロ、ブラジリアなど主要都市の空港でも一部の便で欠航はみられるが、燃料不足は解消されつつあり、おおむね通常どおりの運航に戻ってきた。

(二宮康史)

(ブラジル)

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