プラットフォーム規則案に対する反応はさまざま

(EU)

ブリュッセル発

2018年05月01日

欧州委員会は4月26日、インターネット上のプラットフォームと企業の関係に関する規則案を発表した。欧州委は、域内の中小企業の42%がプラットフォームを利用して商品・サービスを販売しているものの、その多くが契約関連などの問題を経験していると指摘。規則案は、EUのデジタル単一市場戦略の見直しの中で重点3分野の1つとして打ち出された(2017年9月15日記事「DSM 構築に向けて取り組み強化PDFファイル(281KB)」参照)もので、プラットフォーム利用における公正かつ透明、予見可能な事業環境を創出することを目的としている。

透明性向上と効率的な紛争解決が軸

規則案は、50人以上の従業員を有し、売上高が1,000万ユーロを超える事業者を対象としている。透明性の向上〔(サプライヤーの)利用登録の削除や利用中止の条件、個人データなどデータの扱い、商品やサービスの表示順位の決定に関する基準の策定の明示など〕と紛争のより効率的な解決(紛争処理システムの設置、中立な紛争仲裁者リストの利用契約への記載など)を軸とするものだ。欧州委は加えて、プラットフォームについて問題のある商習慣など、市場動向に関する助言と知見を提供する「オンライン・プラットフォーム経済観測所」の設置も発表した。今後、欧州議会とEU理事会(閣僚理事会)の承認を経て成立する。

欧州委の発表を受け、通信やインターネットサービス分野の企業が加盟するコンピュータ通信産業協会(CCIA)は同日、プラットフォーム自身は利用者企業との良好な関係の維持に多大な労力を割いており、市場全体の問題はなく、域内に直接適用される「規則」を制定する根拠はないと主張。「過剰かつ画一的な規則でなく、柔軟なアプローチこそ欧州のデジタル経済の成長をもたらし得る」とする声明を発表した。

一方、4,000団体以上の会員を擁する欧州の独立系レーベルの音楽産業団体IMPALAも同日声明を発表。プラットフォームの利用規約に交渉の余地がないこと、コンテンツの削除やアクセスの遮断を盾にした交渉戦略など、中小企業であるコンテンツサプライヤーとオンラインのプラットフォームの間には大きな交渉力の差があると指摘し、欧州委の提案を歓迎した。

(村岡有)

(EU)

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