消費が活発、第1四半期のGDP成長率は1.3%

(ロシア)

モスクワ発

2018年05月23日

連邦国家統計局は5月16日、2018年第1四半期の実質GDP成長率(速報値)を前年同期比1.3%と発表した(表参照)。

表 ロシアの主要経済指標

鉱工業生産は前年同期比1.9%増、うち鉱業1.0%増、製造業2.2%増で、農業生産は2.6%増だった。一方で、建設は4.0%減と振るわなかった。小売売上高は2.2%増、実質可処分所得は3.0%増、実質賃金は9.5%増と好調で、消費者物価上昇率は前年同期比2.2%、失業率は5.1%にとどまっている。

経済発展省は経済状況に関するレポートで、例年に比べ寒冷な気候が天然ガスや電力生産の伸びに寄与し、労働者の賃金上昇により消費が活発化していると分析。金融機関ウラルシブの主任アナリストであるアレクセイ・デビャトフ氏は、建設活動の落ち込みは巨大なインフラ施設に関連する投資活動が縮小したことが要因としている。

米国による対ロ追加制裁発表(2018年4月10日記事参照)による今後の経済への影響については、異なる見解が出されている。経済発展省は「(米国の制裁措置は)金融市場に対し長期的にネガティブな影響をもたらすが、近年のロシア政府によるマクロ経済政策により、実体経済は金融市場の変動に対する敏感度が和らいでいる」と指摘し、影響は限定的との見方を示す。

その一方でウラルシブのデビャトフ主任アナリストは「発表後に生じたルーブル為替レートの下落は実質賃金の低下や消費者信頼感の低下を呼び起こし、小売り・サービス分野に悪影響が生じる」とみている。

今後の経済成長に通しについて、ロシア中央銀行は第2四半期のGDP成長率は1.0~1.4%と予測する。また、欧州復興開発銀行(EBRD)は2018年通年の成長率を1.5%(2018年5月15日記事参照)としている。

(齋藤寛)

(ロシア)

ビジネス短信 718c0e29783b456f