資本流入が4四半期連続で増加

(ナイジェリア)

ラゴス発

2018年05月28日

2018年第1四半期の資本流入額は63億363万ドルと4期連続で増加した(注)。国家統計局が5月11日に発表した内容によると、資本流入を牽引したのは前期に引き続きポートフォリオ投資で、45億6,509万ドルと全体の72%を占め、前期の65%からさらに拡大した(図参照)。

図 ナイジェリアの資本流入の推移

ポートフォリオ投資のうちマネーマーケット商品が77%を占めて1位だったこと、国別では英国、米国が上位を占めたことなど、従来の増加傾向と同様の結果となった。年初の予測においても、投資家のナイジェリア市場への信認が回復し、投資が加速されていくというのが大勢で、今回の発表はそれを裏付けたかたちだ。

外貨準備高も回復、輸入大幅増に懸念も

外貨準備高も順調に増加している。深刻な外貨不足により、2016年10月ごろには230億ドル台まで落ち込み、2017年第1四半期の時点では300億ドルをわずかに超える状況だったが、2018年5月17日時点では477億9,395万ドルと、最低期の2倍を超すまでに回復している。ナイジェリア中央銀行も、2017年初頭までの厳しい外貨規制を緩和する姿勢を継続しており、国内事業者は投資家・輸出事業者向け外貨供給窓口を中心に外貨獲得が可能となっている。在ナイジェリアの日系企業も「2018年は問題なく外貨を取得できている」と話す。

一方、大手格付け会社フィッチ・レーティングスは、この状況が輸入額を「歴史的な水準まで増加」させる可能性を指摘している(「ディスデイ」紙5月18日)。外貨規制により輸入を絞ることで黒字となっていた貿易が、再び赤字に陥る懸念を示した。また、外貨規制によって農産品などを中心とした国内生産が促進されていたのも事実で、再び輸入回帰に転じ、国内生産の勢いを止めるリスクもあるだけに、中銀の外貨供給のかじ取りがカギを握る。

(山村千晴)

(ナイジェリア)

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