欧州委、公的機関情報の再利用促進策を発表

(EU)

ブリュッセル発

2018年05月07日

欧州委員会は4月25日、公的機関の情報の再利用に関する指令(PSI指令)の改正案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどを発表した。欧州委は、データ主導型のイノベーションが特に中小企業やスタートアップにとっての市場成長や雇用創出、技術開発のカギになると認識。一連の文書では、域内での非個人データの自由な移動を加速し、データをより入手しやすくすることを目的としている。

機械生成データに関する指針も発表

欧州委の発表の主なポイントは次のとおり。

  • 現行のPSI指令では、水道などの公共事業や運送業、公的基金を利用した研究データが対象外であること、リアルタイムの情報提供がまれにしか行われないこと、一部の公的機関の情報の再利用が高額であることが問題として指摘されていた。PSI指令改正案には、適用対象となる公的機関の拡大や、情報の再生産・提供・流通に必要な限界費用を超える課金の制限、特定の分野におけるAPI(システム同士、またはシステムとアプリケーションをリンクし、作動させるためのインターフェース)を利用したリアルタイムの情報提供が提案された。
  • 欧州委は、研究データなど科学情報へのアクセスと保持を改善することによる研究の支援を目的とする「科学情報へのアクセスと保持に関する勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を更新。改正された勧告は、オープン・サイエンス(科学研究の成果・データの社会での幅広い共有)の考え方に沿ったオープンなアクセス、研究データおよびデータ管理、研究者のデータ共有に向けたインセンティブ制度、テキストマイニングおよびデータマイニング(情報システムに蓄積した巨大なデータの集合をコンピュータによって解析し、これまで知られていなかった規則性や傾向など、何らかの有用な知見を得ること)などを実施するためのガイダンスを提供する。
  • 欧州委は、民間部門のデータ共有に関するコミュニケーション外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(指針)も発表した。モノのインターネット(IoT)による機械生成データは、重要性が増しつつある一方、現行法による規制対象とはなっていない。欧州委の指針は、IoTのデータおよびそれらを利用した製品やサービスについて、公正な市場競争の条件を記述したものとなっている。

(村岡有)

(EU)

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