破産倒産法の施行・改定で再建事業に外資が参入

(インド)

ムンバイ発

2018年05月24日

インド企業では最近、企業の清算や再建計画のための資産売却が、それを買収しようとする企業のビジネスチャンスになっており、インド企業だけでなく外資大手企業も買収による参入を図っている。

インド鉄鋼大手エッサール・スチールは2017年から再建手続きを進めており、一連の資産売却で、ムンバイ中心部に保有していたオフィスビルなどの不動産を、カナダの資産運用会社に約240億ルピー(約384億円、1ルピー=約1.6円)で売却した(「タイムズ・オブ・インディア」紙4月24日)。また、同社を買収する案件では、地場JSWスチールと連合を組んだロシア系のニューメタルと、新日鉄住金と連合を組んだルクセンブルクに本社を置くアルセロール・ミタルが入札を試みた。しかし、ニューメタルは創業者一族による買収を禁じた規定に、アルセロール・ミタルは自ら不良債権を持つ企業による買収を禁じた規定に抵触するとして、共に不適格企業との判断が出た。今後、新規企業の入札が期待されている。

カナダのブルックス・アセット・マネジメント、英国のリバティ・ハウス、米国のブラックストーンなどの外資系企業も、インドの不良債権資産買収に活発に動いている。特に、リバティ・ハウスは今後3年以内にインドで約10億ドルの投資を行うという。(ロイター通信4月24日)

このような動きの背景に、インド準備銀行(RBI)が2018年2月に発表した不良債権処理の新たなスキームがある。当スキームは、「2016年破産倒産法(Insolvency and Bankruptcy Code, 2016)」で示されたインド政府の倒産処理を迅速化し、経済の新陳代謝を促進する姿勢をより明確にするもので、企業は債務不履行後ただちに破産を申し立て、以後最長270日以内に再建計画が債権団に承認されなければ清算される。今後、同改定により、企業の清算が円滑に進むことが期待される。

(本庄剛、比佐建二郎)

(インド)

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