大統領、財務相を経済政策一元化の調整役に指名

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年05月22日

マウリシオ・マクリ大統領は5月18日、今後の経済政策の一元化を担う調整役としてニコラス・ドゥホブネ財務相を指名した。財政政策、経済成長政策、国家予算の実行、(中央銀行総裁と共に)インフレの抑制、といった領域が対象になる。また、経済関連9省庁(注)は、マクロ経済に影響を及ぼす歳出決定などにおいて、同相の了解が必要となると報じられている(「クロニスタ」紙5月21日)。

今回の通貨急落に端を発する混乱に至る過程において、マクリ大統領とその側近とされるマルコス・ペーニャ首相、マリオ・キンタナ補佐官(次官級)、グスタボ・ロペテギ補佐官(次官級)が中心となって進められてきたことに対する批判もあった。

特に、2017年末のインフレターゲットの引き上げ決定に際しては、中銀の所掌である決定事項を首相府が決め、結果的にはそれが海外の機関投資家らに対し、マクリ政権の経済政策の不安定さを示したとの指摘もある。マクリ大統領は5月16日の記者会見で、2017年末の決定について反省を行っている。

現在進められているIMFとの融資枠協議においても、ドゥホブネ財務相が交渉窓口を担っており、既にクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事とも会談した。政策金利を40%へ引き上げる発表を行った5月4日の記者会見において、財政規律の確立、2018年の歳出赤字額をGDP比で当初目標の3.2%から2.7%へ厳格化すると発表したドゥホブネ財務相当人の、他省庁の歳出管理をめぐる手腕に注目が集まる。

(注)金融省、工業生産省、労働・社会保障省、内務省、エネルギー・鉱業省、運輸省、観光省、農産業省、近代化省。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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